笑顔のよろこび、心のふれあいを大切にしています。

住み慣れた地域で自分らしくいきるために

 2013年認知症の方の人数が 460万人と推定されるという報告がなされ、関係者に衝撃を与えました。それは、今までの予測を大幅に上回る数字であったからです。今までもそうでしたが、この結果が出てきてからは、より一層、「早期発見・早期治療」が重要になっています。それは家族の介護負担や人的資源の限界を考えると、少しでも早く治療を開始して少しでも進行を遅くすることが重要だからです。また、家族が介護にあたるために社会的な損失となり、国の財政負担も大きくなっています。そして、何よりも患者さん自身のために重要であるからです。
 政府は認知症に対して、計画的に対処しようとしていろいろな施策を行っていますが、その一つが認知症疾患医療センターです。当院は、平成23年 4月から、地域型認知症疾患医療センターとして高知で最初に県から委託されて業務を開始しました。多くの方に利用して頂き、認知症の鑑別、治療、サービスへの導入などの手助けをさせていただいています。
 認知症の方に限らず高齢者の方は、色々な身体の病気を持っていることが多く、かかりつけ医を持っている方も多いです。また、新しいことを覚えたり、今までと違った環境での生活には慣れないものです。だから、出来るだけ、住み慣れた地域で、信頼している医師の指導の下、安心して生活できることが重要です。認知症疾患医療センターは、かかりつけ医と連携して鑑別診断と療養指導により継続的にかかりつけ医での治療ができるようにしていきます。もちろん、それが困難な場合には当院で治療をしています。
 認知症という病気は現在のところ根本的な治療方法がありません。早期に治療開始して少しでも機能維持をしていくことがその後のQOL(生活の質)の向上にとって重要になります。認知症かもしれないと思ったら、まずはかかりつけ医に相談して当院へご紹介して頂き、検査をすることをお勧めします。
認知症疾患医療センター長  2014. 6. 17